「足のつり」は体調不良のサインかも!

◎筋肉の収縮を感知するセンサーの異常が引き起こす

体を動かすときには、筋肉を収縮させたり引き伸ばしたりしています。筋肉が伸び縮みすると、伸び過ぎを防ぐ筋紡錘(きんぼうすい)、縮みすぎを防ぐ腱紡錘(けんぼうすい)が働き、力のかかり具合をコントロールします。この筋紡錘と腱紡錘が無意識にバランスを取り合うことで、筋肉の損傷を防いでいるのです。

ところが、腱紡錘のセンサーが何らかのきっかけで働かなくなり、筋肉が収縮し続けて異常な痛みが起こることがあります。

これが「つり」の症状です。

腱紡錘のセンサーが働かなくなるメカニズムは、まだ詳しく解明されていませんが、ミネラルのバランスが崩れたり、不足したりすることが原因のひとつと考えられています。筋肉の収縮や神経の伝達に関係する主なミネラルには、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウムなどがあり、いずれかが過剰になったり不足したりすると体の機能がうまく働かなくなります。

ミネラルバランスが崩れるのは、どんなとき?

発汗などによる脱水

汗にはナトリウムが多く含まれるため、一度に大量の汗をかくことで、ミネラル不足やバランスの乱れが起こります。

冷えなどによる血行不良

体が冷えることで血流が悪くなり、ミネラルが運ばれにくくなります。すると神経伝達に支障が生じて、腱紡錘の働きが悪くなります。

栄養不良や食事の偏り

全体の食事量が足りなかったり、偏った食事を続けたりすることで、ミネラルバランスが崩れてしまいます。なかでも、マグネシウムは、カルシウムやカリウムの働きを調整する重要な役割がありますが、現代の食生活では不足しがちです。

筋肉の衰えや使いすぎ

筋肉量が減ると、血流が滞り新陳代謝が悪くなります。新陳代謝はミネラルによって行われているため、代謝が滞ることでミネラルのバランスに乱れが生じます。また、スポーツなどで筋肉に大きな負担がかかると、カルシウムの欠乏が生じやすくなります。

薬の服用

利尿剤や降圧剤などの薬剤によって、ミネラルバランスが崩れることがあります。

頻繁に起こる痛みや強い痛みは相談を

多くの「つり」症状は、心配なものではありません。ただし、生活に支障をきたすほどの頻繁な痛み、強い痛み、また足以外にも全身がつるというようなときには、大きな病気が隠れていることもあります。

代表的なものは「糖尿病」「腰部脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさく)」「閉塞性動脈硬化症」など。血流不全や神経の圧迫などの影響で「つり」症状が起こります。

このような時は、相談しましょう。

監修:出沢  明(出沢 明PEDセンター院長)

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