妊産婦・アトピーにも魚の油!

油=太る!悪者というイメージがありますが、この油の中には、体に必須な油があり、この油を摂らなければ人は生きていけません。油の研究は、近年とても盛んに行われ、特に魚の油に含まれる「オメガ3」という油は、たくさんの働きを持っていることがわかってきました。

油は単に、脂肪としてエネルギー源ではなく、心疾患・脳血管障害の抑制、アレルギー・炎症の抑制、抗腫瘍(がん)活性を持っていることが分かっています。

病院に入院中の重症アトピー性皮膚炎・喘息患者(中高生)を対象に6ヶ月間『オメガ3』を多く、反対に植物油(オメガ6)を控えた食事療法をしたところ、皮膚炎の面積・重症度が大きく改善、アレルギー時に増加する血液中の「好酸球」の数も減少しました。

これは、血液中や細胞の中のオメガ3が増加し、オメガ6が減少したために、炎症が抑えられたと考えられています。

現代人は、サラダ油、ドレッシング、揚げ物など植物油の摂取が多く、体の中でオメガ6が増え、一方で魚離れからオメガ3が少なくなっていることが、アトピー性皮膚炎の一因になっています。この2つの油のバランスを整えることで改善したと考えられています。

夏場に悪化しやすいアトピー性皮膚炎、少しでも炎症が起きにくい体づくりを「油の摂り方」で、はじめてはいかがでしょうか。

◎お魚の油の話をもうひとつ。

妊産婦、産後のママにお魚の油が良いというお話です。

魚の油(オメガ3)は、妊娠中に重要な栄養素のひとつです。

それは、オメガ3の油は、胎児の発達、特に脳の神経細胞の原料となり脳の発達には欠かせない油だからです。

妊娠期にオメガ3の油が足りないと、母体の脳にあるオメガ3が胎児に使われ、出産後は出産前と比べて脳の容積が減少することや、脳の容積の減少が元に戻るのに2年ぐらいかかるという報告があります。

また、産後においても、オメガ3は重要です。

母乳にはオメガ3が含まれており、このオメガ3で赤ちゃんは脳の神経細胞や体の発達を促していきます。産後においてもオメガ3を十分に摂取することが重要といわれています。

近年の研究では、オメガ3の摂取と「産後のうつ」との研究もされています。「うつ」とオメガ3の研究は、世界中で進められており、大学生4000人を対象にした試験では、月に1〜2回魚を食べる人では抑うつになる確率を22%抑制、毎日食べる人では35%抑制したとの報告があります。特に若い世代では、魚食が減少傾向にあり、オメガ3と体のなかで反対の働きがある植物油(オメガ6)の摂取の増加が危惧されています。

魚の油(オメガ3)は、体の中で強い生理活性物質になり、体の発達やバランスを整え、炎症を抑え、こころの安定にも寄与していることがわかっています。魚を食べる機会の減る夏、今こそ魚を食べて、心とからだの元気アップ!

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