◎「がん」になったら私はこの代替医療を選択する◎ より抜粋
ウンコは臭いもの。それが当たり前だと思っていませんか?
それは大きな誤解です。
便の半分以上は細菌です。大腸には、100種類以上の腸内細菌が100兆個も住んでいます。
腸内細菌には、善玉菌と悪玉菌、そして体調などによって、どちらにも傾く日和見菌がいます。善玉菌の代表は、ビフィズス菌、乳酸菌です。一方、悪玉菌の代表は、ウェルシュ菌という腐敗菌です。日和見菌は、腸内で善玉菌と悪玉菌のどちらが優勢かを様子見し、優勢な方に加担します。ですから、悪玉菌が増えると、腸内はどんどん悪玉菌優位に傾いていきます。
悪玉菌が増えると、腸内で便は腐敗し、悪臭を放つとともに有害物質を発生させるようになります。これを「腸内異常発酵」といいます。便の悪臭のもとは、腸内異常発酵によって発生するインドール、スカトール、フェノール、ヒスタミン、アンモニア、ニトロソアミン、硫化水素などの有毒ガスです。これらは発がん性物質でもあります。
便のにおいと色は、腸内細菌の状態を反映しています。
善玉菌が多ければ、腸内は酸性になり、便の色は黄色または黄褐色で、においも悪臭ではありません。でも、悪玉菌が増えると、腸内はアルカリ性になり、便の色は黒身を帯びて悪臭がするようになります。
糖尿病や肝硬変などの人の便も臭いですが、がんの人はさらに強烈な悪臭がします。そして、便の色は黒っぽくなります。しかも、便が水に沈みます。
便が「臭い」「黒い」「沈む」…これは、がんになる警告だと考えてください。重症度が高いほど、この傾向は強くなります。このことは、がんを扱っている医師はみなよく知っています。
便に悪臭が伴うようになる最大の原因は食生活にあります。高タンパク、高脂肪、低繊維の食事を長年続けている欧米人は、一般に便の量が少なく、悪臭を伴う人が多いそうです。それが大腸がんの誘因になっているといわれます。
「臭い」「黒い」「水に沈む便」が出るときは、悪玉菌が多くなり、腸内が異常発酵して腐っている状態にあります。腸内異常発酵は、体内に活性酸素を発生させる大きな原因にもなります。腸内で活性酸素が発生すると、免疫の働きが低下します。ですから、腸内異常発酵の状態をなんとか改善しないと、がんと闘うことができません。
便秘は万病のもとといわれます。その言葉通り、便秘をして、悪玉菌を長く溜めこんでいると、がんになりやすくなります。
大腸というのは、良いものも悪いものも全て吸収します。便秘は、腸内に腐ったゴミが残っている状態です。腐敗した状態の便を長時間溜めこんでいると、有害物質が腸の細胞を破壊したり、刺激したりして、大腸のがんやポリープを発生させる原因になります。
それだけではありません。
大腸の粘膜から毒素が何度も再吸収されて血管に入りこみ、汚れた血液が全身をめぐって、身体全体に様々ながんを引き起こす土壌ができてしまいます。
便秘になるということは、毒素や発がん性物資が長く腸にとどまるということです。食べた物は24時間以内に排泄されることが理想です。1〜2週間も便通のない方がよくいらっしゃいますが、現在は健康だとしても、おそらく4〜5年後には病気になります。
便秘を解消して、腸内異常発酵を是正するために、私たちが気をつけなければならないことは、やはり食事です。
まず、ミネラルや食物繊維の多い食事を摂ることが大切です。食物繊維には善玉菌を腸内で住みやすくする働きがあります。
元国立九州ガンセンター医師
安藤 由朗先生