飽食が招いた落とし穴

お腹いっぱいの幸せ

太り過ぎた不幸

今、肥満が危ない!

◎野生動物と現代人◎

獲物を追うライオンを想像してみてください。ライオンなど野生動物はいつもお腹を空かせて「食事をとるため」に運動をしています。一方、同じ動物でも飽食社会の人間はどうでしょうか。毎日、お腹いっぱいに食事をして、かつ運動不足の生活を続けています。その結果、太り過ぎてしまい、これを解消するためにダイエットに励んでいます。

つまり、野生動物とは逆に「食事をとりすぎたため」に運動をしているのです。

近年、このような生活習慣により内臓に脂肪が蓄積し、これが原因で糖尿病、高血圧、高脂血症など、複数の生活習慣病を合併する「メタボリックシンドローム」が社会的な問題になっています。

◎ウエスト周りを計測してみましょう◎

メタボリックシンドロームの診断基準では、まず肥満かどうかが必須条件となります。メタボリックシンドロームを引き起こす肥満は皮下脂肪ではなく内臓に脂肪がたまるタイプの肥満です。

内臓脂肪型の肥満かどうかを調べるには、へその高さの腹囲を測ります。測定する際、腰の一番細いところではありませんので注意してください。

「男性85cm以上、女性90cm以上」の場合は、内臓脂肪型の肥満と考えられます。

しかし、ウエストだけの計測では、ウエストは同じでも身長が低い人と高い人ではリスクに違いがあり、当然、低い人の方がリスクは高くなります。また見た目では太っていなくても内臓脂肪が多い「隠れ肥満」は、ウエスト計測だけでは発見できません。こうした点を考慮し、ウエストだけでなく身長も考慮し、様々な角度から肥満度を検証してみることが大切です。

◎肥満が招く病気のリスク◎

肥満度が高いほど、病気が合併しやすく死亡率も高くなることが分かっています。肥満により動脈硬化が進むと、糖尿病、高血圧、高脂血症が発症しやすくなります。とりわけ、肥満、高血糖、高血圧、高脂血症の4つ条件がそろうと、心筋梗塞や脳卒中など、命にかかわる病気を発症するリスクは35倍にも急上昇してしまいます。このほか、肥満は痛風(高尿酸血症)、胆石症、変形性膝関節症など、実にさまざまな病気の要因にもなっています。

しかし、逆に考えれば、肥満の方は少し減量するだけで、病気の発症リスクを確実に減少させることができるのです。

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