66歳女性 整形外科的痛み

腰が曲がり、ひどい痛みがある。膝も痛んでO脚状に外側へ開いたかっこうになっている。そのひどい痛みのために、朝起きるのに20分以上くらいかかる。それでも農家なので畑に行かなければならない。膝がいちばん痛む時などは、まっすぐ歩くことすらできず、ゆるやかな勾配の坂であってもカニのように横歩きで登っていくような状態だった。腰がかなり曲がっており、何かにつかまらなければ歩けないような状態で来店される。

一般的に腰のズレがある場合、

どこか別の部分に大きなズレがあることが多い。いちばん多いのは第2頚椎(首の骨)のズレであろう。同時に肩こりも持っていらっしゃる方が多い。しかしドクターの所見では、第2頚椎のズレはなかったとのこと。

「肩はこりませんか?」とたずねると、「ありません」と答えられる。ところが第4胸椎には大きなズレがあるとのこと。広背筋の凝りがひじょうに強く、まるで背中によろいでも着けたかのようであるといわれる。

そこのズレが腰に影響して骨盤のズレを生み、それが血行を悪くする。

また、その骨盤のズレを矯正しようとして膝が外に割れ、腰から膝にかけてのシビレ、膝の痛み、そして腰痛を起こしたために苦しんでおられるのだなと感じた。

まず、第4胸椎のズレを戻すべく、漢方薬を処方。同時に血行改善を目標に灯盞花(とうさんか)製剤を処方。それに腰の筋肉と広背筋をやわらかく弾力をとり戻すために、UCーⅡ製剤をそれぞれ15日分ずつ処方。

10日後に電話があり、朝起きるのに時間がかからなくなったとのこと。同じものを15日分処方する。

45日後、背も伸び、何も頼らずにひとりで歩いて来店。非常に喜んでおられます。

半年後、灯盞花(とうさんか)製剤のみを処方中。

〈考察〉

よく感じることではあるが、脊椎のズレが多くの痛みの原因になることが多い。それにきちっと合う漢方薬を処方した時の改善のスピードには我ながらびっくりすることがよくある。

ただ、多くの患者様はそのズレが痛みを起こしているのだとは考えにくいようである。またそのズレが漢方薬でとれるとは考えていらっしゃらない。

この患者さんの場合、ズレが大きいために、改善をはっきりと感じることができた。最初の所見と患者さんの症状がピタリと合致し、ひじょうにスムーズに改善が見られた例である。

目次